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環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、環境を保全しつつ健全な経済の発展を図る上で事業活動に係る環境の保全に関する活動とその評価が適切に行われることが重要であることにかんがみ、事業活動に係る環境配慮等の状況に関する情報の提供及び利用等に関し、国等の責務を明らかにするとともに、特定事業者による環境報告書の作成及び公表に関する措置等を講ずることにより、事業活動に係る環境の保全についての配慮が適切になされることを確保し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において環境配慮等の状況とは、環境への負荷を低減することその他の環境の保全に関する活動及び環境への負荷を生じさせ、又は生じさせる原因となる活動の状況をいう。
2 この法律において環境情報とは、事業活動に係る環境配慮等の状況に関する情報及び製品その他の物又は役務に係る環境への負荷の低減に関する情報をいう。
3 この法律において環境に配慮した事業活動とは、環境への負荷を低減すること、良好な環境を創出することその他の環境の保全に関する活動が自主的に行われる事業活動をいう。
4 この法律において環境報告書とは、いかなる名称であるかを問わず、特定事業者その他の事業者が一の事業年度又は営業年度におけるその事業活動に係る環境配慮等の状況を記載した文書をいう。
(国及び地方公共団体の責務)
第三条 国は、自らの環境配慮等の状況を公表するとともに、事業者による環境情報の提供の促進、事業者又は国民による環境情報の利用の促進その他の環境に配慮した事業活動の促進のための施策を推進するものとする。
2 地方公共団体は、自らの環境配慮等の状況を公表するように努めるとともに、その区域の自然的社会的条件に応じた環境に配慮した事業活動の促進のための施策を推進するように努めるものとする。
3 国及び地方公共団体は、環境に配慮した事業活動の促進のための施策を推進するに当たっては、中小企業者の事務負担その他の事情に配慮をしつつ、これを行うものとする。
(事業者の責務)
第四条 事業者は、その事業活動に関し、環境情報の提供を行うように努めるとともに、他の事業者に対し、投資その他の行為をするに当たっては、当該他の事業者の環境情報を勘案してこれを行うように努めるものとする。
(国民の責務)
第五条 国民は、投資その他の行為をするに当たっては、環境情報を勘案してこれを行うように努めるものとする。
第二章 国等による環境配慮等の状況の公表
(国による環境配慮等の状況の公表)
第六条 各省各庁の長は、毎年度、当該年度の前年度におけるその所掌事務に係る環境配慮等の状況をインターネットの利用その他の方法により公表するものとする。
(地方公共団体による環境配慮等の状況の公表)
第七条 地方公共団体の長は、毎年度、当該年度の前年度におけるその所掌事務に係る環境配慮等の状況をインターネットの利用その他の方法により公表するように努めるものとする。
第三章 事業活動に係る環境配慮等の状況の公表
(環境報告書の記載事項等)
第八条 主務大臣は、事業活動に係る環境配慮等の状況の公表に係る慣行その他の事情を勘案して、環境報告書に記載し、又は記録すべき事項及びその記載又は記録の方法を定めなければならない。
2 主務大臣は、前項の規定により記載事項等を定めようとするときは、あらかじめ、定めるべき記載事項等の案について、事業者、学識経験のある者又はこれらの者の組織する協議会その他の団体の意見を聴かなければならない。
3 主務大臣は、第一項の規定により記載事項等を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(環境報告書の公表等)
第九条 特定事業者は、主務省令で定めるところにより、毎事業年度、環境報告書を作成し、これを公表しなければならない。
2 特定事業者は、前項の規定により環境報告書を公表するときは、記載事項等に従ってこれを作成するように努めるほか、自ら環境報告書が記載事項等に従って作成されているかどうかについての評価を行うこと、他の者が行う環境報告書の審査を受けることその他の措置を講ずることにより、環境報告書の信頼性を高めるように努めるものとする。
第十条 環境報告書の審査を行う者は、独立した立場において環境報告書の審査を行うように努めるとともに、環境報告書の審査の公正かつ的確な実施を確保するために必要な体制の整備及び環境報告書の審査に従事する者の資質の向上を図るように努めるものとする。
第十一条 大企業者は、環境報告書の公表その他のその事業活動に係る環境配慮等の状況の公表を行うように努めるとともに、その公表を行うときは、記載事項等に留意して環境報告書を作成することその他の措置を講ずることにより、環境報告書その他の環境配慮等の状況に関する情報の信頼性を高めるように努めるものとする。
2 国は、中小企業者がその事業活動に係る環境配慮等の状況の公表を容易に行うことができるようにするため、その公表の方法に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
第四章 製品等に係る環境への負荷の低減に関する情報の提供
第十二条 事業者は、その製品等が環境への負荷の低減に資するものである旨その他のその製品等に係る環境への負荷の低減に関する情報の提供を行うように努めるものとする。
第五章 環境情報の利用の促進
第十三条 国は、環境報告書を収集し、整理し、及び閲覧させる業務を行う者に関する情報の提供その他の環境報告書の利用の促進に必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、前項に定めるもののほか、事業者又は国民が投資、製品等の利用その他の行為をするに当たって環境情報を利用することを促進するため、技術的な助言その他の必要な措置を講ずるものとする。
第六章 雑則
(主務大臣等)
第十四条 この法律における主務大臣は、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、環境大臣及び特定事業者を所管する大臣とする。
(経過措置)
第十五条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。
国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人による環境物品等の調達の推進、環境物品等に関する情報の提供その他の環境物品等への需要の転換を促進するために必要な事項を定めることにより、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築を図り、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において環境物品等とは、次の各号のいずれかに該当する物品又は役務をいう。
一 再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料又は部品
二 環境への負荷の低減に資する原材料又は部品を利用していること、使用に伴い排出される温室効果ガス等による環境への負荷が少ないこと、使用後にその全部又は一部の再使用又は再生利用がしやすいことにより廃棄物の発生を抑制することができることその他の事由により、環境への負荷の低減に資する製品
三 環境への負荷の低減に資する製品を用いて提供される等環境への負荷の低減に資する役務
2 この法律において独立行政法人等とは、独立行政法人又は特殊法人のうち、その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によって得ている法人であって、政令で定めるものをいう。
3 この法律において地方独立行政法人とは、地方独立行政法人法 第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。
(国及び独立行政法人等の責務)
第三条 国及び独立行政法人等は、物品及び役務の調達に当たっては、環境物品等への需要の転換を促進するため、予算の適正な使用に留意しつつ、環境物品等を選択するよう努めなければならない。
2 国は、教育活動、広報活動等を通じて、環境物品等への需要の転換を促進する意義に関する事業者及び国民の理解を深めるとともに、国、地方公共団体、事業者及び国民が相互に連携して環境物品等への需要の転換を図る活動を促進するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(地方公共団体及び地方独立行政法人の責務)
第四条 地方公共団体は、その区域の自然的社会的条件に応じて、環境物品等への需要の転換を図るための措置を講ずるよう努めるものとする。
2 地方独立行政法人は、当該地方独立行政法人の事務及び事業に関し、環境物品等への需要の転換を図るための措置を講ずるよう努めるものとする。
(事業者及び国民の責務)
第五条 事業者及び国民は、物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合には、できる限り環境物品等を選択するよう努めるものとする。
(環境物品等の調達の基本方針)
第六条 国は、国及び独立行政法人等における環境物品等の調達を総合的かつ計画的に推進するため、環境物品等の調達の推進に関する基本方針を定めなければならない。
2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 国及び独立行政法人等による環境物品等の調達の推進に関する基本的方向
二 国及び独立行政法人等が重点的に調達を推進すべき環境物品等の種類及びその判断の基準並びに当該基準を満たす物品等の調達の推進に関する基本的事項
三 その他環境物品等の調達の推進に関する重要事項
3 環境大臣は、あらかじめ各省各庁の長等と協議して基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 前項の規定による各省各庁の長等との協議に当たっては、特定調達品目の判断の基準については、当該特定調達品目に該当する物品等の製造等に関する技術及び需給の動向等を勘案する必要があることにかんがみ、環境大臣が当該物品等の製造、輸入、販売等の事業を所管する大臣と共同して作成する案に基づいて、これを行うものとする。
5 環境大臣は、第三項の閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。
(環境物品等の調達方針)
第七条 各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、毎年度、基本方針に即して、物品等の調達に関し、当該年度の予算及び事務又は事業の予定等を勘案して、環境物品等の調達の推進を図るための方針を作成しなければならない。
2 前項の方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 特定調達物品等の当該年度における調達の目標
二 特定調達物品等以外の当該年度に調達を推進する環境物品等及びその調達の目標
三 その他環境物品等の調達の推進に関する事項
3 各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、第一項の方針を作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4 各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、第一項の方針に基づき、当該年度における物品等の調達を行うものとする。
(調達実績の概要の公表等)
第八条 各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、毎会計年度又は毎事業年度の終了後、遅滞なく、環境物品等の調達の実績の概要を取りまとめ、公表するとともに、環境大臣に通知するものとする。
2 前項の規定による環境大臣への通知は、独立行政法人等の長にあっては、当該独立行政法人等の主務大臣を通じて行うものとする。
(環境大臣の要請)
第九条 環境大臣は、各省各庁の長等に対し、環境物品等の調達の推進を図るため特に必要があると認められる措置をとるべきことを要請することができる。
(地方公共団体及び地方独立行政法人による環境物品等の調達の推進)
第十条 都道府県、市町村及び地方独立行政法人は、毎年度、物品等の調達に関し、当該都道府県、市町村及び地方独立行政法人の当該年度の予算及び事務又は事業の予定等を勘案して、環境物品等の調達の推進を図るための方針を作成するよう努めるものとする。
2 前項の方針は、都道府県及び市町村にあっては当該都道府県及び市町村の区域の自然的社会的条件に応じて、地方独立行政法人にあっては当該地方独立行政法人の事務及び事業に応じて、当該年度に調達を推進する環境物品等及びその調達の目標について定めるものとする。この場合において、特定調達品目に該当する物品等については、調達を推進する環境物品等として定めるよう努めるものとする。
3 都道府県、市町村及び地方独立行政法人は、第一項の方針を作成したときは、当該方針に基づき、当該年度における物品等の調達を行うものとする。
(環境物品等の調達の推進に当たっての配慮)
第十一条 国、独立行政法人等、都道府県、市町村及び地方独立行政法人は、環境物品等であっても、その適正かつ合理的な使用に努めるものとし、この法律に基づく環境物品等の調達の推進を理由として、物品等の調達量の増加をもたらすことのないよう配慮するものとする。
(環境物品等に関する情報の提供)
第十二条 物品の製造、輸入若しくは販売又は役務の提供の事業を行う者は、当該物品の購入者等に対し、当該物品等に係る環境への負荷の把握のため必要な情報を適切な方法により提供するよう努めるものとする。
第十三条 他の事業者が製造し、輸入し若しくは販売する物品若しくは提供する役務について環境への負荷の低減に資するものである旨の認定を行い、又はこれらの物品若しくは役務に係る環境への負荷についての情報を表示すること等により環境物品等に関する情報の提供を行う者は、科学的知見を踏まえ、及び国際的取決めとの整合性に留意しつつ、環境物品等への需要の転換に資するための有効かつ適切な情報の提供に努めるものとする。
(国による情報の整理等)
第十四条 国は、環境物品等への需要の転換に資するため、前二条に規定する者が行う情報の提供に関する状況について整理及び分析を行い、その結果を提供するものとする。
(経過措置)
第十五条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。
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